【草譯】ヒト・モノ・トチの譯をくみとる【野村仁嗣】

今回はBARの街、長野県松本市で誕生したボタニカルシロップ草譯の生みの親、野村仁嗣さんにお話しをうかがいました。



野村さんのこれまで

和歌山県生まれの野村さんは、大学進学を機に大阪へ。大学卒業後は医療機器メーカーへと就職します。メーカーで営業として働くものの、今一つ楽しさを見いだせずに過ごしていました。


そんな中での野村さんの憩いの場は、自分をかっこいい大人たちへの仲間入りをさせてくれるバーという空間でした。


バーでのキャリアを考えはじめ、白羽の矢が立ったのが、「BARの街」として知られる長野県松本市。当時25歳だった野村さんは30歳までに独立することを目指してキャリアをスタートさせていきます。


ジン専門店の立ち上げ

最初はバーのノウハウを知ることができるオーセンティックバーで修行を積んでいきます。4年も経つ頃にはバーが好きなだけだった若者もバーテンダーとして一通りの知識や技術を身に着け、当時かかげた30歳での独立までの残り1年間は全くことなる空間に身を置くことに決めます。


選んだのはブックカフェ。バーがクローズドな洗練された空間だとするなら、カフェはオープンで誰にでも親しまれる空間です。そこで働くことでバーだけでは知りえなかったことを知り、出会えなかった人と出会うこととなります。


そうしてブックカフェでの1年の経験もおえ、独立の年30歳となります。


すでにバー文化豊かな松本市において、自分ならではのジャンルとして、当時盛り上がってきていたジンに着目します。


首都圏ではジン専門店なども出てきた2019年でも長野ではまだ新しい存在でした。こうして2019年7月にジン専門店「KINO」が誕生します。


コロナ禍でのピボット

自分の店舗も持ち、BARの街でクラフトジンという新ジャンルを広めていこうとしたのもつかの間。翌年のコロナ禍で飲食人としては世界が一転してしまいます。


隠れ家的な店舗設計やジンに向き合ってもらうためにあえてフードをおいていなかったということも相まって、ビジネスとしては行き場を失ってしまいます。


そんな中、新たな一歩としてドリンク開発と向き合います。


ボタニカルシロップ草譯の誕生

当時はクラフトコーラが大きな注目を集めていた時期ではありましたが、単なるクラフトコーラやジンジャーエールではない独創的なものをと考え、自分の大好きなベルギーのジンにヒントを得ます。


ベルギーのBUSSジンは、ベースボタニカルが。柑橘×バニラ×カルダモン×コリアンダーシードと決まっており、そこにそれぞれのフレーバーを形作るボタニカルが入っていきます。


地元和歌山の名産である生姜を使いたかった野村さんは、4つのボタニカルに生姜を加えレシピを作り上げます。


ブランド名である草譯は、


「奇を衒わず真っ当に

草根木皮それぞれの

譯をくみとりととのえる」


というタグラインにもあるように、自分の創りたい味に原材料を押し込めてしまうのではなく、それぞれの原料がのびのび個性を発揮させ、美味しさへと昇華していってほしいという野村さんの思いが込められています。


製造では外部委託はせずに、バーの一部を改装した製造所でひとつひとつ手作業で作られており、今後も自身のブランドを自らの手で作っていきたいと語っています。


テロワールに根ざして

今後は製造所を新たに増産態勢も整えていきつつ、長野という土地に根ざしたドリンクの開発も進めていきます。


長野に根ざしたといっても、わかりやすい「名産品」や「特産品」に飛びつくのではなく、真にその土地を表現するべく、そこに自生するボタニカルに注目し、さらにできる限りの人的介入を排して新しく美味しいもの創っていきたい、という思いはまさにワインの世界のテロワールを思わせる世界観です。


ブームと文化とノンアルコール

最後にノンアルコール市場の今後について、お話聞かせていただきました。


「現状、ノンアルコール市場では一部面白みが優先されているきらいがあり、より根本的な美味しさが見過ごされているというようなシーンを見かけることが度々あります。


そうしたブーム的なもの、そしてそれを追いかけることの魅力について、理解はできるものの、自分としては地に足をつけ、自分の手を動かすことでしか出せない魅力を伝えていきたい。


また、まだまだ業界側としてもアルコールを含まない『ノンアルコール」であることに引け目を感じているようにも思います。とくに値付けからその引け目が見え隠れしています。しかし、長い目でノンアルコールやドリンクの発展を思うのであれば、引け目など感じず積極的な姿勢をとることも必要になってくるのではないか。」


草譯の「譯をくみとる」というタグラインにもあるように、決して自分が前に出るのではなく、まるで対話者のような姿勢で、ヒト・ボタニカル・土地に向き合う姿が印象的なインタビューでした。


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