今回は2023年6月、文京区本郷にオープンしたノンアルコールドリンクを楽しむ場『澱々』のオーナーのemmyさんにお話をうかがいました。
emmyさんのこれまで
emmyさんは服飾の専門学校に進み、アパレル業界、ジュエリー業界などで社会人としての一歩目をスタートします。しかし、縁があり入った飲食業界でバーで働くようになると、面白さにはまり、もっと多くを知りたい、そう思うようになっていったと語ります。
次のステージとして選んだのは、谷中の老舗バーで経験を積んでいきます。
バーテンダーとしての技量は着実に向上しながらも、新しいライフステージに上がっていくにつれ、夜仕事に将来的な不安を抱くように…。
改めて飲食を通じて自分ができることは何かを考えていった結果、たどり着いたのはノンアルコールという領域でした。
emmyとして始動
Twitterを通じてノンアルコールカクテルのレシピを紹介しながら、自分のできること、やりたいことの解像度を上げていきます。
「#mixdrinkweekday」でレシピを投稿し少しずつ反響ももらえるようになると、やはり「実際に自分の創ったものを飲んでもらいたい!」、そう感じるようになり、ノンアルコールのイベント企画や飲食店でのドリンク監修などの新分野にも進んでいきます。
そんな中でも、一つの転機となったのが、2021年に千駄木の登録有形文化財にも指定された島薗邸で行ったイベントでした。
当然バーカウンターなどない洋館では、ドリンクメイキングはお客さんが見ている中で行われます。
「イベント終了後に、作る過程を見られるのが面白かったというお声をたくさんいただき、液体だけではない、空間・過程・対話がノンアルコールという作品に求められていた最後のピースのような気がしました。」
アート活動としてノンアルコールを表現していくという思いは、このようにはぐくまれていったと語ります。
澱々の実現に向けて
イベントと監修の二軸で仕事を進めてきたemmyさんでしたが、今後より活躍の場を広げていくために、そして自身が掲げたアート×ノンアルコールを実現するための場を作ることを決意します。
「昔から古く残っているものが好きでした。時の試練を乗り越えて存在するものには、それだけの理由とそれだけの物語があります。なので、街に歴史が息づく文京区にお店を出したかったんです。」
ドリンク創りにも、この思いは通底しているそうで、その食材がそこで作られる理由を通じて、インスピレーションを得て、お客さんに紹介する物語を紡いでいくとのことです。
『澱々』では、
・ドリンク3種×ワイン3種コース(茶、菓子付き)|11:00〜12:30/9900円
・ドリンク4種×ワイン4種×甘味コース(茶、土産付き)|13:30〜16:00/15,400円
という二つのコースを展開しており、ドリンクに合うワインをチェイサーとして飲んでもらうことで、ゆっくりとした時間を過ごしてもらえればと語ります。
「海苔は海だけでなく、山にも育てられています…」といった物語をはじめ、ドリンクの数だけ物語を聴くことができます。
ノンアルコールはもっと面白く、もっとアートになれる
最後にemmyさんに今後の展望や、ノンアルコール業界に期待することをうかがいました。
「ノンアルコールとアートという可能性をさらに追及するべく、今は現代アーティストさんとのコラボイベント等も検討しています。まだ知らない文化や伝統に触れることで、いい刺激をもらって、今の自分では思いつかないような面白いことができればと思っています。
ノンアルコールはまだまだ遊びのある領域だと思っているので、色んな方が入ってきて、一過性の流行りモノではない文化として根付いてくれると嬉しいですね。」
駅を降りてお店まで歩く道のりも文京区らしい品のいい下町感にあふれていて、店内に入ると黒を基調としたシックな内装が物語の始まりを予感させてくれます。
みなさんもぜひemmyさんの語るノンアルコールという物語を観に「澱々」に足を運んでみてください。
澱々 Instagram:澱々(@oriori_kikuzaka) • Instagram写真と動画
emmy Instagram:emmy(@emmyemi_) • Instagram写真と動画
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