今回は山形県でノンアルコールカクテルの「モクテル」にも注力しているBARを2店舗経営、更に2021年9月に新しいカフェ・バーという形態で「LiFE」をオープンした、安孫子陽平さんにお話をうかがいました。
安孫子さんのこれまで
山形は安孫子さんの生まれ育った町。成人し初めて訪れたBARの世界観に衝撃を受けました。
「空間、提供されるお酒すべてが新鮮で、高揚感があった。自分もこの世界の内側に入りたいと思った。」
そこから飲食業界に入り、独立を目指して修業を積み、ダイニングバー「リッツガーデン」、「リッツスイート」と立て続けに開店。一昨年の秋に3店舗目として「LiFE」をオープンしました。
厳しいコロナ禍で模索しながら見つけた「モクテル」
3店舗目のきっかけはコロナでした。
アルコールの提供ができず経営が厳しい状況に。
しかし、お店や出張先の結婚式場でもノンアルコールを飲む人が増えてきているのを目にし、自分たちバーテンダーの武器を活かした「ノンアルコールカクテル」という、新しい楽しみ方を提案していこうと考えます。
ここから「LiFE」オープンへの道が動き出しました。
そもそもの「LiFE」のコンセプトは「新しいライフスタイルに、新しい文化を」というもので、海外でトレンドになっていた「モクテル/ノンアルコールカクテル」を売りに、InstagramなどSNSでも発信をし、外部出店などを行いながらリアルの場でも存在感を発揮していきました。
入口はカフェ、出口はBAR文化の定着
店舗設計には、若い世代の子も気軽に入れるような、明るいカフェの雰囲気を意識し、内装にもこだわりました。
ただ安孫子さんのゴールは、アルコール、ノンアルコール関係なく山形に「BAR文化」を広めること。ドリンクそのものや提供時のプレゼンテーションには特にこだわっています。
ソフトドリンクではなく、「モクテル」。
自家製シロップなどこだわりの素材をカクテルグラスで提供することで、カクテルになじみのない人にも、雰囲気から興味を持ってもらえるようなメニュー開発をしています。
BARの魅力は何といっても、カクテルの中の世界観と美味しさ。
そして、「自分の気分に合わせてカクテルを作ってもらえる」こと。
それが「LiFE」では、ノンアルコールでも体験できるのです。
もちろんグランドメニューもありますが、地元生産者さんによる旬のフルーツや野菜・コーヒーなどを使ったオリジナルモクテルにも対応してくれます。
「モクテル」に対する「価値」のズレ
モクテルは、3店舗全てで提供されています。
しかし、カクテル、モクテル、ほぼ同等の価格設定をしていると、
「モクテルはノンアルコールなのに高い」
という印象を持たれているお客さまがまだまだいらっしゃると言います。
しかし、安孫子さんはおっしゃいます。
「市販のシロップのジュース割などは安価で提供できるが、自分たちが目指すべきものは違う。」
カクテルに劣らず、苦みや酸味、雰囲気、立体感を出すにはどうしてもコストはかかってしまう。
「まだ『店側の気持ちとお客様の予算』にズレがあるのは確か。まだまだ時間はかかるが、そのズレを埋めていく努力はしていきたい。」
そのように安孫子さんは語ります。
大きな課題と大きな可能性
「認知や理解が足りていない中でも、ノンアルコール市場への期待が見えるから前に進める。それは、「LiFE」オープンのきっかけにもなった、マルシェなど外部出店での経験です。ノンアルコールドリンクといえば、オレンジジュース、コーヒーなど多い中、既存の枠にとらわれないノンアルコールドリンクを求める声を多く聞きました。」
お店を知らない人に野外イベントでモクテルを知っていただき、お店にも足を運んでくれることもあるといいます。
地元の生産者さんとBARのコラボ「山形カクテルミーティング」では、地元のフルーツや野菜を使ったカクテル、モクテルを飲み歩くテーリングイベントを開催しましたが、参加者には普段BARを利用しない方も多く、外で発信することのメリットを実感し、今後も継続開催を考えていらっしゃるそうです。
また安孫子さんは、山形から「モクテル」という新しい分野にチャレンジをしている実績が認められ「山形市創業アワード2021」の飲食業部門で優秀賞を受賞しています。
今後の展望としては、若い世代にBAR文化を知ってもらうための活動を考えているそうです。
最後に
「僕らバーテンダー同士も、アルコール、ノンアルコールの楽しみ方を日々模索しています。まだまだなじみのない文化ですが、これからも魅力を発信していき、自分が味わったあの高揚感をぜひ、お客様も感じてくれたら嬉しいなと思っています。」
安孫子さんのお店では、どこに行ってもモクテルが楽しむことができます。お酒が飲めない人が置いてきぼりになることはなく、酔わなくても最高の高揚感を味わえる空間が、そこには用意されているのです。
また「LiFE」では、今年の春ごろから自家製クラフトコーラやジンジャーエール、やモクテルなどにも合うハンバーガーなど新しい挑戦をしていく予定なので、そちらもお楽しみに。
コロナ禍という厳しい状況から、視点を変えることでプラスに転じて取り組む安孫子さん。
アルコールとノンアルコールの垣根をなくした「モクテル」という文化をこれまでも、これからも山形から発信し続けてくれることをnolky編集部も楽しみにしております。
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