居酒屋ノンアル問題はなぜ起こる?──飲食店でノンアルを頼むのは悪いことなのか
- 7 分前
- 読了時間: 3分
「必ず全てのお客様にお酒のご注文をしていただきます。水だけでいい、我慢する、焼鳥が美味しいと聞いた等の理由は一切受け付けておりません。どうぞ他店へ行かれてください」
──そんな張り紙をした飲食店の写真がXで拡散され、「居酒屋ノンアル問題」として大きな議論になりました。
「ノンアルを頼んだら店員の対応が明らかに変わった」
「アルコールを飲まないなら来るなと言われた」
こういった体験談はSNSで定期的に話題になります。居酒屋でノンアルコール飲料を頼むことは、そんなに悪いことなのでしょうか。

「飲む場」という文脈の中で飲まないこと
ひと昔前、居酒屋や飲み会は「全員が飲む場」として疑われることなく成立していました。
乾杯はビールで、注文はアルコールが前提で、飲めない人は「付き合いが悪い」と見られることもありました。
その空気は少しずつ変わっています。ソバーキュリアスという言葉が広まり、あえて飲まない選択をする人が増え、妊娠中・服薬中・運転など飲めない事情への理解も広がっています。
それでもなお、居酒屋という場には「飲むのが前提」という文脈が根強く残っています。
その中でノンアルコールを選ぶことが、場の文脈から外れる行為として無意識に受け取られる―飲めない人が感じる気まずさの多くは、そこから来ています。
飲食店側の事情
飲食店がノンアルコール飲料の対応に力を入れてこなかったのには、経営的な理由があります。
居酒屋の収益の多くはドリンクによるものです。
特に生ビールやサワー類は回転率が高く、原価が抑えられるため利益の柱となります。
一方でノンアルコール飲料は、アルコールに比べて1杯あたりの単価が低く、杯数も伸びにくい。
「飲まない客への配慮がない」のではなく、「ノンアルでは売上が成立しにくかった」という構造的な問題です。
だからといって「仕方ない」では終われません。
日本の20代〜60代の人口約8,000万人のうち半数が日常的にお酒を飲まない層に該当するという調査もあります。「飲まない客」は少数派ではなく、潜在的な主要顧客です。
変わりつつある空気
先進的な飲食店はすでに動いています。
塚田農場は2023年、ソバーキュリアス施策としてノンアルコールドリンクを33品にラインナップ。アルコール0%ながらお酒を思わせる本格的な味わいのドリンクを展開し、「どなたも、どんなシーンでも楽しめる店」への転換を図りました。
背景には「アルコールが理由で居酒屋を利用しない層が一定数いる」という自社調査の結果があります。
ワンダーテーブルは、外食産業として国内初のノンアルコールアドバイザリー契約を結びました。
高まる国内外のノンアルコールニーズに応え、洗練されたノンアルコールペアリング体験を提供していく取り組みです。
ノンアルコールペアリングという概念も広がっています。料理に合わせてノンアルコール飲料を選ぶという体験は、かつては高級レストランにしかなかったものが、居酒屋チェーンでも現実になりつつあります。
すみわけができれば、問題は起きない
「お酒を飲む人のための店」があっていいと思います。
コンセプトとして筋が通っていますし、そういう場を求める人もいます。問題は、それが入店前にわからないことです。
禁煙・喫煙の表示と同じように、「ノンアルコール対応あり」「アルコール注文必須」という情報が予約・来店前の段階でわかれば、飲める人も飲めない人も自分に合った店を選べます。
すみわけが明確になれば、店側も客側も気まずい思いをせずに済みます。
「飲まない」という選択が、特別なことでも気まずいことでもなくなる日に向けて。そのために必要なのは、批判でも我慢でもなく、情報の透明性だと私たちは思っています。




コメント