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お酒のカロリーは糖質じゃない──アルコールとノンアルコールのカロリーの話

  • 10 分前
  • 読了時間: 5分

「糖質ゼロ」と書かれたビールを選んだことはありますか。


健康を気にして、少しでもカロリーを抑えようとして。あるいは、なんとなく体によさそうだから。


その選択、実はあまり効いていないかもしれません。


お酒のカロリーの正体は、糖質ではないからです。

お酒のカロリーは糖質じゃない──アルコールとノンアルコールのカロリーの話
ビールのカロリーを分解してみる

文部科学省が公表している日本食品標準成分表という資料があります。あらゆる食品の栄養成分を収録した、公式のデータベースです。


ここでビールを引くと、100gあたりの数値はこうなっています。

エネルギー39kcal、たんぱく質0.3g、脂質0g、炭水化物3.1g、そしてアルコール3.7g。


栄養素にはそれぞれ、1gあたりのエネルギー量が決まっています。


たんぱく質と炭水化物は4kcal、脂質は9kcal、そしてアルコールは約7kcalです。


これを当てはめて計算してみます。

たんぱく質は約1kcal、脂質は0kcal、炭水化物は約12kcal、そしてアルコールが約26kcal。

合計すると約39kcal。表の数値と一致します。


つまり、ビールのカロリーのおよそ3分の2は、アルコールそのものから来ているということです。糖質由来はせいぜい3分の1にすぎません。

だから、糖質を削ってもカロリーは残る

糖質ゼロのビールを選んでも、削られているのは全体の3分の1の部分です。


残りの3分の2、つまりアルコール由来のカロリーは、度数が変わらない限りそのまま残ります。


アルコールは1gあたり約7kcal。これは糖質の4kcalより高く、脂質の9kcalに次ぐ数値です。


お酒のカロリーの主犯は、ずっとアルコールでした。

では、アルコールを抜いたらどうなるのか

ここでノンアルコール飲料が登場します。


7kcalの源を取り除くのだから、カロリーは構造的に下がる。理屈のうえでは、そうなるはずです。


ところが、話はそう単純ではありません。

同じメーカーの、正反対な2製品

アサヒビールが公開している原材料・成分一覧表から、2つの製品を並べてみます。


どちらもビールテイストのノンアルコール飲料で、アルコール分は0.00%です。


アサヒドライゼロは、100mlあたりエネルギー0kcal、糖質0g。


アサヒゼロは、100mlあたりエネルギー28kcal、糖質6.9g。


同じ会社の、同じカテゴリーの商品で、この差です。


答えは原材料表示にあります。

ドライゼロの原材料は、

食物繊維、大豆ペプチド、ホップ、炭酸、香料、酸味料、カラメル色素、酸化防止剤、甘味料

麦芽が入っていません。


一方アサヒゼロの原材料は、麦芽を筆頭に、スターチ、ホップ、大麦、コーン、米と続きます。

麦芽が第一原材料です。

カロリーの差は、製法の差だった

アサヒグループの研究開発ページには、ドライゼロの製法についてこう説明されています。


酵母を麦汁に添加すると一般的にはアルコールが発生するため、アルコール0.00%を達成するには麦汁を未発酵で使うことになる。


しかしそれでは酵母発酵による香気がつかない。そこで一切麦汁を用いずに、フレーバーなどの調合技術でビールの味を再現する製造法を構築した、と。


麦汁とは、麦芽から糖を抽出した液体のことです。これを使わなければ、糖もカロリーも発生しません。


対してアサヒゼロは「ブリューゼロ製法」と呼ばれる方式で、濃厚なビールを実際に醸造してから、アルコール分だけを取り除いています。原料から造っているので、麦芽由来の糖はそのまま残ります。


つまりこういうことです。


カロリーがゼロなのは、原料からビールを造っていないから。カロリーがあるのは、原料から造っているから。


数字の高い低いは、健康度の優劣ではありません。設計思想の違いが表れているだけです。

ついでに「ゼロ」の意味も確認しておく

もうひとつ知っておくと便利なことがあります。


食品表示基準では、飲料の場合100mlあたり5kcal未満であれば「カロリーゼロ」と表示できます。


糖質は100mlあたり0.5g未満でゼロ。500mlのペットボトルに換算すると、20kcal以上含んでいても「ゼロ」表示が可能ということになります。


さらに紛らわしいのが「糖類ゼロ」と「無糖」です。


糖類とは砂糖などの単糖類・二糖類のこと。糖質はそれより広い概念です。「無糖」は食品表示基準上、糖類ゼロの基準を満たしていることを意味します。つまりゼロにしているのは糖類だけで、糖質全体ではありません。


「糖類ゼロ」「無糖」でも、糖質は含まれている可能性があります。「糖質ゼロ」なら、糖類も当然ゼロです。


ちなみにドライゼロには甘味料(アセスルファムK)が使われています。カロリーゼロなのに味に厚みがあるのは、こうした技術によるものです。

数字を知れば、選べるようになる

お酒のカロリーは、その多くがアルコール由来です。


だから糖質を削るより、アルコールを減らすほうが効きます。


ノンアルコール飲料のカロリーは、製法によって大きく変わります。原料から造っていればカロリーは残り、香料で組み立てていればゼロにできる。


そして原材料表示の一番目に麦芽があるかどうかを見れば、だいたいの見当はつきます。


カロリーを最優先するなら調合型。原料由来の味わいを求めるなら、脱アルコール型やインフュージョン型。


どちらが正しいという話ではなく、何を優先するかの問題です。


我慢するために数字を知るのではありません。納得して選ぶために知るのだと思います。


参考資料


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