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ノンアルボイス|Low-Non-Bar 高橋 弘晃の場合

10 分前
読了時間: 5分

ノンアルコールが盛り上がっている気がする、そんな気がするのだけど、実際どうなの?飲食の現場でノンアルコールを扱っている人に、ノンアルコールとの出会いから現在地点、将来に向けた課題を伺う企画『ノンアルボイス』。


今回は、日本のノンアルコールとローアルコールの先駆けであるLow-Non-Barの高橋 弘晃さんにお話をうかがいました。

●           高橋さんのこれまで

ノンアルボイス|Low-Non-Bar 高橋 弘晃の場合

「将来の夢は冷蔵庫。」


冷蔵庫にはみんなを笑顔に出来る、美味しいものが入っている、だから自分は冷蔵庫になって、みんなを喜ばせたい。高橋さんが就学前に親族の前で語ったこの言葉が自身の未来を運命づけたのかもしれません。


しかし、そんなあどけない想いも時間とともに一時は忘れられ、大学時代の高橋さんは飲食とビラ配りは絶対にやりたくないと決めていたそう。


大学時代は理系でITの勉強をしていましたが、残りの人生をパソコンの前で過ごし続けることに一抹の不安を覚え、大学を中退します。


大学を辞めた以上、自分で稼がなくてはいけません。しかし、当時の高橋さんに何か特別なスキルがあるわけではありません。


そこで思いついたのが、自分の心のよりどころにもなっていた喫茶店。喫茶店でバイトをはじめ、いずれは喫茶店のマスターになろう。冷蔵庫に一歩前進します。


バイトを始めようにも、ネットで色々な選択肢を比べられなかった時代、なんと高橋さんは地元にあったカフェバーに応募します。


カフェバーを昼はカフェ、夜はバーをやっている喫茶店くらいに思ったそうですが、カフェバーはカジュアルなスタイルのバーのこと。当時、お酒をほとんど飲まなかった高橋さんがそのことを知らなくとも無理はありません。


面接に行くと、当然夜の匂いをまとったスタッフが待ち構えており、聞かれることと言えば。お酒のことばかり。「マッカランって知っている?」といった半ばマウントに耐えますが、何もわかっていなかった高橋さんは結局落とされてしまいます。


「わかりやすい挫折経験で、自分も否定されたように感じてしまいました。」


普通なら本来の目的だった喫茶店で出直すところですが、傷心の高橋さんはもっと良いバーで働いて見返してやろうと心に決めます。


そこで、サントリーの鳥井信治郎や映画監督の小津安二郎も訪れたという銀座の名店BRICK(現在は閉業)に入社します。


バーテンダーとしての基本を学び、4年目には店長を務め、7~8年間勤め上げます。


ここで、自分がつくったものをその場でお客さんが喜んでくれるバーテンダーという仕事に面白みを見出すことができたと述懐します。


とはいえ、職場環境としては、今で言うとかなりブラックだったらしく、仕事を辞めると、ギャンブルで稼ぎながら、何をするともなく過ごしていたそうです。


そろそろ社会復帰をしなくてはというとき、将来の独立も考えて、改めてバー業界を俯瞰します。


ワインバーはワインに合わせる食を楽しむ空間、ウィスキーバーは時間と資本をかけて収集したウィスキーを楽しんでもらう空間、オーセンティックバーは時間をかけて真打や名人を目指す落語の寄せのような空間と考えていくと、どうも自分に合っているのは、トレンドを楽しむミクソロジーという領域だと気づきます。


ミクソロジーを学ぶために、次の活躍の舞台としてたどり着いたのが、今のカクテルワークスでした。当時創業3~4年ですでに3店舗の多店舗展開に成功し、メニューの値付けや立地、内観を見ても、これまで自分が学んできたバーマネジメントと齟齬なく入社を決めたと語ります。


●           高橋さんとノンアルコール

Low Non Bar内観

カクテルワークス上野で経験を積み、カクテルワークス東京のオープニングにたずさわり、その後同店の店長として働きます。転機になったのが、2020年。ノンアルコールとローアルコールに特化した新店で店長の話が来ます。


「最初はそれは嫌でしたよ、同じ麺類だからといって、蕎麦で修行してきた職人がうどん屋に転向させられるようなものですからね笑」


しかし、高橋さんにはそれでもノンアルコールをやってもいいかなという原体験がありました。それは地元での家族との会食。お酒の飲めなくなった祖父がそれでも輪に入ろうと、おちょこに注いだ日本酒をなめるように飲んでいるのを見たときの、バーテンダーとしての無力感を痛感します。


実際に、Low-Non-Barの店長となると、まだ体系的なノウハウも教材もない中で、日々試行錯誤を繰り返すことになります。


そんな中、お店はコロナ禍に入り、ノンアルコールの注目度が一気に伸びることになります。


多くの取材や企業からの商品開発の依頼が入ったことで、仕事の幅も広がり、アウトプットを通じて、ノンアルコールというものの体系的な理解が進んだと語ります。


今では高橋さん自らがドラクエ理論と呼ぶロジックを組み立て、ノンアルコールに向かっているそうです(ドラクエ理論については、是非Low-Non-Barで聞いてみてください)。


接客面においては、ノンアルコールのお客さんは、酔っ払うことがないので品よく飲んでくれる一方、アルコールを通じたリラックス効果がないため、意図的にコミュニケーションを多めに取るようにしているそうです。


●           ノンアルコールの未来について

Low Non Bar提供カクテル画像

最後に高橋さんにノンアルコールの未来についてうかがってみました。


「最近は、色々なレストランやホテル、バーでノンアルコールの取組みが行われていますが、まだまだそのような各企業の取組みがお客さまに届ききっていないように感じます。わたしたちも、ノンアルコールに特化したバーとして持っている知識や情報はオープンにして、発信していますが、本当の意味でノンアルコールの新しい文化を創ることができるのは、大手メーカーだとも思っています。


個人としてはとにかく常に120%でやりきって、ノンアルコールの面白さを拡げていくだけですね!」

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