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ノンアルボイス|farben 矢崎 慎の場合

ノンアルコールが盛り上がっている気がする、そんな気がするのだけど、実際どうなの?飲食の現場でノンアルコールを扱っている人に、ノンアルコールとの出会いから現在地点、将来に向けた課題を伺う企画『ノンアルボイス』。


今回は、ニセコ、ロンドンと経験を積み、2024年に札幌で自身のお店farbenをOPENした矢崎慎さんにお話をうかがいました。


  • 矢崎さんのこれまで

矢崎慎
矢崎慎(提供farben)

高校時代から様々なことに興味関心を持っていた矢崎さんは、インテリアを学ぶ専門学校を卒業し、音楽関係の会社で仕事を始めます。


「当時は、バーテンダーなんて言えるほどのものではなかったですが、音楽イベントでのお酒の提供などを通じて、次第にお酒にも興味を持つようになっていきました。」


2年ほど会社で働くと、20代のうちに海外経験を積んでおこうと、ワーキングホリデービザでカナダに飛ぶことに。その際に音楽とお酒の道を天秤にかけ、バーテンダーになることを決意します。


しかし、当時英語もままならなかった矢崎さんは仕事探しから苦戦を強いられ、バーテンダーとしての経験を積むことはできずに帰国の途につきます。


その後、英語のブラッシュアップとバーテンダーとしての経験を積むために、新天地をニセコに見出し、プライベートでも行ったことのあったBar Gyu+(バー・ギュータス)の門戸をたたきます。


当時Bar Gyu+は冬のみの営業をしており、お客さまの7~8割は海外観光客という店柄。海外経験のある矢崎さんはサブバーテンダーとして働くことになります。


総席数約80席の店内で、日々働きながらバーテンダーとしての技術を身に着けていきます。


働きぶりが評価され、矢崎さんはBar Gyu+の通年での採用枠を勝ち取り、さらにそこから5年間勤めあげ、サブバーテンダーからバーテンダー、そしてヘッドバーテンダーと着実にステップアップしていきます。


「Bar Gyu+では、メニュー開発、コンセプト作り、ホスピタリティ、集客、メーカーとの関係づくりといったバーテンダーとして大事な全てを教えてもらいました。」


こうして経験を積んだ矢崎さんは、かつて辛酸をなめさせられた海外でのバーテンダー経験に再チャレンジします。


場所はバーの聖地ロンドン。オーセンティックバーからレストランバーまで複数店を経験します。


他のバーテンダーとのコミュニケーション、世界的なバーでの経験、英語での現地の人との接客。まだまだ自分に足りていなかったことと向き合うことができたと語ります。


2年間の英国経験の末、まだまだ滞在することもできたそうですが、一日も早く独立して自分の店を持ちたいという気持ちもあり、2022年の冬に帰国後、Bar Gyu+で働きながら独立開業の準備を行い、2024年8月にfarbenを開店します。


地元の人も海外の人も気軽に来られる「間口の広いバーにしていきたい」と思いを語ってくださいました。


  • 矢崎さんとノンアルコール

    farben内観
    farben店内(提供farben)

では、矢崎さんとノンアルコールの出会いはいつだったのでしょうか?


「Bar Gyu+はニセコというスキー観光地の立地もあり、メニューの4分の1くらいはノンアルコールでした。」


Bar Gyu+が矢崎さんのバーテンダーとしての第一歩であったことを考えると、矢崎さんにとってバーとノンアルコールは切り離せないものであったと推察できます。


またロンドンでは、ノンアルコールはさらに身近な存在であったと語ります。


「夕方の4時からオープンするようなお店も多かったロンドンにおいては、ノンアルコールの存在は当たり前のものでした。」


その印象は、レストランバーで働くようになるとより強まったそうです。その背景には、「バー」というものの日英での存在の違いがあるとも仰います。


「日本のバーはバーテンダーありきですが、海外のバーはよりその空間やお店ありきだったように感じます。そのため、より多様な方がお店にいらっしゃっており、中には当然お酒を飲まない/飲めないお客さまも一定いました。」


当然farbenにおいてもノンアルコールメニューは、定番のノンアルコールジントニック、コーディアルを使ったノンアルコールカクテル、デザート感覚で楽しめるノンアルコールカクテルの3種類が常時用意されているそうです。


  • ノンアルコールの未来について

Farbenカクテル
farbenカクテル(提供farben)

最後に矢崎さんにノンアルコールの未来についてうかがってみました。


「ノンアルコールのプロダクトがより市場に出てくることが一番の近道だと思っています。実際に、バーにおいてノンアルコールがより身近であったロンドンではかなりの数のノンアルコールプロダクトが出ていました。


そうすることでモクテルが浸透していくのだと信じています。」


海外仕込みのノンアルコールカクテルを楽しみたい方はぜひfarbenに足をお運びください。

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