ノンアルボイス|クラフトルーム 竹添 未来の場合
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- 8月8日
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ノンアルコールが盛り上がっている気がする、そんな気がするのだけど、実際どうなの?飲食の現場でノンアルコールを扱っている人に、ノンアルコールとの出会いから現在地点、将来に向けた課題を伺う企画『ノンアルボイス』。
今回は、2025年ASIA'S 50 BEST BARSに選出された大阪CRAFTROOMのバーテンダー兼パティシエの竹添未来さんにお話をうかがいました。
竹添さんのこれまで

竹添さんの原体験は母とのクッキー作りにあると言います。手づから作ったクッキーを喜んで美味しく食べてくれる友達を見て、将来はパティシエになろうと決めたそうです。
幼い頃の夢を持ち続けるのは難しいものではありますが、竹添さんは高校・大学と製菓のコースがある学校に進学し、着実にパティシエとしての道を切り拓いていきます。
そんなお菓子作りを学ぶかたわら、お酒に興味を持ったきっかけをうかがうと、なんとトム・クルーズ主演の映画『カクテル』だったそうです(竹添さんのご年齢からするとなかなか渋いチョイスです)。
お菓子は学校で学べるから、お酒はバイトで学ぼうということで、バーバイトが始まります。
最初に入ったバーは明け方まで営業していたこともあり、仕事終わりのバーテンダーさんもよく飲みに来ていました。そこでCRAFTROOMを開業予定の藤井隆さんと出会います。
藤井さんから自分のお店でも働いてほしいと誘われ、バイトとして働き始めることになります。
「一番多いときは、3つのバーを掛け持ちながら、大学のかたわら週6日で働いていました。なにより接客が楽しく、もうパティシエとして裏方に回ることはできないなと感じていました。」
(一方で、バーではお菓子作りもさせてもらっているようで、パティシエとしても活躍しているそうです。)
さらに、「カクテル作りとお菓子作りは似ている」とも仰います。分量、工程を忠実に守ることでカクテルもお菓子も良いものができるそうです。
大学を卒業するタイミングで、そのままCRAFTROOMに入社を決めたそうですが、決め手は接客のスタイル、豊富な材料、カクテルの味わいなど総合的に考えた上で、自分のやりたいことが一番できると感じられたからだと語ります。
竹添さんとノンアルコール

竹添さんにとって、意外にもバー空間におけるノンアルコールは当たり前の存在だったそうです。
海外のお客さまはじめ、お酒を飲めない方はいつも一定数いらっしゃるとのこと。
そんなときに活きてくるのが、パティシエとしての経験値。
「お菓子作りからノンアルコールカクテルのヒントはたくさんもらっています。お菓子作りの発想を液体へと再構築していくようなイメージです。」
特に、2021年のコロナ禍で飲食店における酒類提供が制限されていた頃は、CRAFTROOMもノンアルコール営業を余儀なくされ、20種類ものノンアルコールカクテルを用意することになり、パティシエとしてのバックグラウンドは大いに活きたと語ります。
ノンアルコールカクテルのメイキングで心がけているのは、甘さと酸味のバランス。どちらかが勝ってしまうと、飲みやすさが損なわれてしまいます。
「CRAFTROOMのカクテルは、良い意味でアルコールを感じさせない、飲み疲れのないテイストのものが多いです。ノンアルコールカクテルであっても、飲みやすさは大事にしています。」
アルコールがない分、甘味・酸味・旨味・苦み・塩味といった五味の繋がりが分断されやすく、いかにシームレスな味わいを目指すかが腕の見せ所とも。
ノンアルコールの未来について

最後に竹添さんにノンアルコールの未来についてうかがってみました。
「日本人のお客さまに限っていえば、もっと気軽にノンアルコールを頼んでいただきたいです。海外の方は当たり前のようにノンアルコールメニューを頼んでくるのですが、日本のお客さまはどこか申し訳なさそうに頼まれます。
わたしたちとしては、アルコールもノンアルコールも変わらず提供しておりますので、気兼ねなく頼んでいただきたいです。」
しかし、「一方で、」と注釈をつけます。
「わたしたちサービス側はもっと飲めない方への深い理解が必要だとも思っています。お客さまがお酒を飲めないのは宗教上の理由なのか、健康なのか、アレルギーなのか、それによって当然対応も変わってくるはずです。どのような意図でノンアルコールを頼まれているかの洞察がサービス側に足りていないことも多々あるように感じます。」
ジャカルタのバーで、イデオロギーを理由にお酒を飲まないというコミュニケーションが当たり前になされていたのを見て、大きな気づきを得たという竹添さん。
彼女のノンアルコールカクテルを楽しみたいという方は是非お店に足をはこんでみてください。
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