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ノンアルボイス|the bar nano 富田 健一の場合

ノンアルコールが盛り上がっている気がする、そんな気がするのだけど、実際どうなの?飲食の現場でノンアルコールを扱っている人に、ノンアルコールとの出会いから現在地点、将来に向けた課題を伺う企画『ノンアルボイス』。


今回は、札幌でthe bar nano.femto.をふくむ3店舗のバーを経営する富田健一さんにお話をうかがいました。


  • 富田さんのこれまで

    富田健一(提供the bar nano)
    富田健一(提供the bar nano)

富田さんがバーに憧れを持ったのは高校時代。


もともと飲食業界でのサービスに興味を持っていたのに加え、アルバイト先の打ち上げで、たびたび訪れていたバー(飲食店併設)のマスターの雰囲気や所作に魅了されたと語ります。


では、バーテンダーになるにはどうすればいいか?


考えた富田さんは近隣のいくつかの調理師専門学校の卒業生の就職先を確認して、一番バーテンダーを輩出していた専門学校に進学します。


学校は1年間だけではありましたが、講師でもあった札幌の老舗Barやまざきでアルバイトをするようになります。


学校卒業後は、Barやまざきのお弟子さんのお店でもあるBAR PROOFへ就職。


当初は年齢層の高い客層ということもあり、思うような接客ができなかったと語りますが、逆に年配のお客さまが関心を持ってくれるような接客を心がけることで、サービス力を磨いていきます。


また、バーテンディングの書籍などが少ない中で「目で見て盗む」という昔ながらのやり方で学んでいったそうです。


努力の甲斐もあって、BAR PROOFの支店長に抜擢されます。


「店長になったことで裁量は増えましたが、それでももっと自分のアイデアを自由に発揮したいという気持ちはありました。」


当時の札幌には、10年間バーテンダーとして勤めたら独立開業するという暗黙の風習があったそうですが、バーテンダー歴8年目にして、今のthe bar nanoを創業します。


当時、ウィスキーバーとオーセンティックバーがほとんどだった札幌において、フルーツカクテルという切り口で店舗を出すことで差別化を図り、見事成功!


独立6年目には2店舗目、一昨年(2023年)には3店舗目を出店し、札幌のバーシーンの一翼を担う存在となります。


  • 富田さんとノンアルコール

内観(提供the bar nano)
内観(提供the bar nano)

そんな富田さんにとって、ながらくノンアルコールには苦手意識があり、商品価値が出しづらいものと考えていたそうです。


オーセンティックバーにお酒を目当てに来店される年配のお客さまを相手にしていた勤め人時代を思えば、仕方のないことだったのかもしれません。


徐々に、意識が変わってきたのは、自分のお店を出してからだったそう。


「フルーツカクテルということで、これまでよりもお客さまの間口が広がり、さらにお酒ベースで飲むものを選ぶという方法から、フルーツベースで飲むものを選ぶという変化が起きたことでお酒の弱い人も注文しやすくなったんだと思います。」


それまではお客さまが無理してお酒を頼んで、残されるということもたびたびあったそうですが、時代の変化もあり、少しずつバーシーンも変わっていきます。


しかし、このときはお客さまには満足いただけるノンアルコールカクテルは提供できていたものの、富田さん自身はお酒入りのカクテルと比べると満足いくものを作れていなかったと述懐します。


もうひとつ転機になったのが、東京のノンアルコール/ローアルコール専門店Low Non Barに足を運んだときのこと、


「代表の宮澤さんとお話させていただく中で、ノンアルコールカクテルのメニューページの話題になり、自分たちのバーでも取り入れてみようと決心できました。」


ちょうどノンアルコールジンなども出てきたタイミングで、ノンアルコールカクテルを作る材料も充実していたという背景もありました。


これまでのフルーツカクテルだけでなく、クラシックカクテルのノンアルコールメニューを載せたところ、ノンアルコールの注文はこれまでの6倍ほどに増大。


「フルーツカクテルというコンセプトで広げることのできたバーの間口を、ノンアルコールという軸でさらに広げられたように感じました。札幌にはまだまだノンアルコールでも楽しめるバーは少ないので。」


  • ノンアルコールの未来について

カクテル(提供the bar nano)
カクテル(提供the bar nano)

最後に富田さんにノンアルコールの未来についてうかがってみました。

「バーもそうなんですが、まずは飲食店でもっとノンアルコールのオプションが増えていってほしいです。食中酒としてのノンアルコールというものが定着することで、ノンアルコールの商品価値は上がっていくのではないかと思っています。


お酒のようにノンアルコール起点での外食という発想が当たり前になれば、提供する側にとっても、楽しむ側にとってもよりよい社会が実現すると信じています。」


札幌でもノンアルコールでバーを楽しみたいという方は是非the bar nanoに足をはこんでみてください!


the bar nano.femto.:the bar nano.femto.

the bar nano gould.:the bar nano. gould

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