
今回は燻製紅茶の生みの親、カネロク松本園の松本浩毅さんにお話を聞いてまいりました。
松本さんのこれまで
松本園さんはお茶の名産地静岡で祖父の代から続くお茶農家であり、本家の系譜をたどれば明治時代にまでさかのぼることができます。
そんな家系に生まれた松本浩毅さんは、家の周りが茶畑だったこともあり幼いころから茶畑に入り込み、さらに静岡の農林大学校で研鑽を積むも、なかなか家業を継ぐ決断がつかず、大学卒業後はウェイターや酒屋でバイトで社会経験を積み、23歳の頃に家業を継ぎます。
お茶業界の変容と新たな挑戦

家業をついだものの、当時お茶業界はペットボトル飲料の隆盛などにより変容の時期にありました。
もともと松本園さんでは、自社の茶畑で取れた茶葉そのものである荒茶の茶メーカーへの卸しを生業としていましたが、近年の茶葉需要の質量ともの変化を見て、自社での商品開発の必要性に気づきます。
しかしお茶農家として畑や茶葉と向き合うことはあれど、商売人としてお客さんに向き合っての営業や、消費者のニーズを取り込んだ商品開発には不慣れな松本さんたちにとって、自社販売はいばらの道でした。
まずはオーソドックスな伝統的静岡茶からスタートするものの、数多ある高品質茶葉との差別化に苦戦し、また営業力も大手メーカーにはかないません。
燻製茶との出会い

そのような苦しい時期に師事していた日本茶の先生の誘いもあり、中国茶の勉強会へ。そこで出会ったのが燻製茶でした。
茶葉を燻すことで新たな香りをプラスするという発想は、当時広がりつつあったフレーバーティーのようになにかを茶葉に添加するわけでもなく、自分たちの育てた茶葉を大切にする松本さんには挑戦しがいのあるものでもありました。
燻製紅茶の誕生

すぐに様々な燻製の燃料となる木材を買ってきては、さくら、くるみ、りんご、ウィスキー樽と実験と始めました。
茶葉との相性なども考えた結果、選ばれたのはウィスキー樽で燻製にしたものでした。
こうして、日本で最初の燻製茶が誕生します。
アルコール世界との接触

誕生したばかりの燻製紅茶ははじめはもっぱら展示会などのお茶売り場でお茶を買いに来た人に紹介していました。
ある日いつものように商品を持って営業した帰り道にバーへ寄りました。バーテンダーさんとの何気ない会話の中で自分たちが燻製紅茶なるものを作って販売していることを話すと、ウィスキー樽を使っていることからウィスキーファンひいてはアルコールの世界でも通用するのではないかという助言をもらいます。
早速各方面で動き、なんと今ではあのウィスキーファン垂涎のイチローズモルトさんから樽材を融通してもらえるほどになります。
唯一無二のビジュアル

また、燻製紅茶について注目すべきはその中身だけではありません。
現在のパッケージデザインは、Appleやコムデギャルソンともタイアップをする世界的グラフィックアーティスト牧かほり氏によるもので、これまでのお茶のパッケージとは一線を画するものになっています。
今後の展望と思い

松本さんに今後について、お話を伺うと
「より良いものを作るのはもちろんのこと、アーティストのように自分を表現できるものを作っていけたらと思っています。そのうえで、お客様も自分達も楽しめる商品を世に送り出せたら」
とおっしゃっていました。
ぜひご賞味あれ!
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