【徹底比較】ノンアル図鑑から見る36種類ノンアルコールビール【何が違う?】
更新日:1月11日

~もくじ~
ノンアルコールとは?

そもそもノンアルコールとはなんなんでしょう?
国税庁では下記のように定義しています。
「酒税法において酒類とは、アルコール分1度以上の飲料(飲用に供し得る程度まで水等を混和してそのアルコール分を薄めて1度以上の飲料とすることができるものや水等で溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のものを含みます。)をいいます。」
この定義に則れば、ノンアルコールとはアルコール度数1%未満の飲料のことを指すことになります。
また、『ノンアルコールドリンクの発想と組み立て』においては
「お酒のような飲用シーン・満足感を想定して造られたアルコール度数1%未満のドリンク」
というように定義されています。
お酒を念頭に置いた商品であることがジュースやソフトドリンクとの一番の違いということになります。
ノンアルコールビールとは?

ノンアルコールの定義に基づくとノンアルコールビールは、
「ビールのような飲用シーン・満足感を想定して造られたアルコール度数1%未満のドリンク」
となります。
実際に日本ではまだまだ0.00%のノンアルコールビールが多いですが、海外では0.5%などの国内で言う微アルコール商品も数多く出てきており、わかりやすくアルコール度数0.00%のビールをノンアルコール、0.5%までの微量のアルコールを残しているものをアルコールフリーと呼称を変えています。
では、ノンアルコールビールの歴史はどうなっているのでしょうか?
ノンアルコールビールの歴史

ノンアルコールビールの起源は皆さんが思われているよりずっと古いかもしれません。
特許情報を見てみると1900年代初頭には脱アルコールの特許が出されており、禁酒法時代の1919年には最初のノンアルコールビールが販売されていたとも言われています。
日本では、2009年にキリンが世界に先駆けて0.00%のノンアルコールビール「キリン フリー」を登場させましたが、それ以前は0.5%~0.9%のノンアルコールビールが主流でした。
「キリン フリー」の登場から、ノンアルコール市場は大きく拡大していき、各社様々なノンアルコールビールを世に送り出していきました。
次なるターニングポイントは、2021年の「アサヒ ビアリー」でした。
ある意味リバイバル的な商品ではありますが、0.00%が当たり前となったノンアルコールビール市場においては、0.5%が醸し出すノンアルコールビールはよりアルコール入りのビールに近い価値を提案することに成功し、「サッポロ ザドラフティ」など一部他社も微アルコールに乗り出しました。
ビールの種類

日本では、まだまだピルスナーやラガータイプのノンアルコールビールが主流ですが、当然IPAやスタウト等のノンアルコールビールも存在します。
それぞれの種類について改めておさらいしてみましょう。
まず知っていただきたいのが、ビールの作り方は大きく2つに分かれるということです。
*本当は自然発酵のものやハイブリッドのものも存在しますが、ノンアルコールビールにおいてはこの二つをおさえておけばOK!
そもそもビールとは、基本原料となる水、ホップ、麦、酵母を主原料として発酵させて作られる醸造酒です。その発酵のさせ方は以下の通り、
ラガー/下面発酵
ビールにあまり詳しくない人でも「ラガー」は聞いたことがあるという方が多いかと思います。それもそのはず多くの大手メーカーの大規模生産にはうってつけの製法だからです。
下面発酵とは、低温で長期間にわたって発酵させる手法です。その際に、酵母が下に(下面に)沈んでいくため、下面発酵と呼ばれます。
低い温度で発酵させるためすっきりとしたニュアンスを残しつつ、長期間にわたる加熱によって安定した品質を生み出すことができます。
エール/上面発酵
下面発酵とは対照的に上面発酵させる手法も存在します。
こちらはラガーが低温長期間だったのに対して、高温短期間で発酵させるというものです。
その際に、酵母が液面に浮き上がってくるため上面発酵と呼ばれます。
味わいの特徴としては、コクのあるどっしりとしたスタイルが挙げられ、昨今人気のクラフトビールなどでは多く採用されている製造方法となります。
上記二つの方法に基づいて、いくつかのポピュラーなカテゴリーを見ていきます。
ピルスナー

日本ではおなじみのピルスナーは、ラガー/下面発酵で作られるスタイル。
チェコのボヘミアンピルスナーやドイツのジャーマンピルスナー等種類があるが、日本で一般的なのはヨーロッパ全域で作られるインターナショナルピルスナーというスタイル。
ホップの苦みなどは控えめで、飲み口さわやかな軽快な味わいです。
ペールエール

その名の通りエール/上面発酵で作られるスタイル。
発祥はイギリスのイングリッシュスタイル・ペールエールだが、ベルギーのベルジャンスタイル・ペールエール、アメリカのアメリカンスタイル・ペールエール等も存在する。
香りはフルーティーながら、ホップ由来の苦みのある味わいです。
IPA/インディアンペールエール

こちらも読んで字のごとくエール/上面発酵で作られるスタイル。
イギリスからインドに船でビールを運ぶ際に腐敗させないように、大量のホップをいれたのが起源と言われている。
苦みがしっかり感じられる味わいです。
スタウト

ギネスビールで有名なアーサー・ギネス氏が考案したエール/上面発酵で作られるスタイル。
アイルランドのアイリッシュスタイル・ドライスタウトやイギリスのインペリアル・スタウトなどが存在します。
原料の大麦を焦がして使うことで黒い色調と強い苦みを引き出しています。
ベルジャンホワイト

ベルジャンという名前の通り、ベルギー発祥のエール/上面発酵で作られるスタイル。
ヒューガルデンビールで有名なヒューガルデン村が起源とされています。
コリアンダーやオレンジピールなどの副材料が使われていることでスパイス感とフルーティーさをかね揃えた味わいとなっています。
ノンアルコールビールの製造

では、ノンアルコールビールはどのように造られるのでしょうか?
ここでは、4つのカテゴリーに分けてみようと思います。
脱アルコール
脱アルコールとはアルコール飲料を一度作ってからアルコールを抜いたもの。
海外ではハイネケン、バドワイザーなど大手メーカーをはじめ主流として使われている手法です。日本でも、先述の通りアサヒをはじめ少しずつ出てきている。
発酵
発酵によるノンアルコールビールの製造は、アルコールを発生させない(あるいはごく微量しか発生させない)発酵によってノンアルコールビールを作っていくというもの。
こちらの方法でも微アルコール(アルコールフリー)のノンアルコールビールが製造できます。
脱アルコールと発酵による方法では、発酵由来のフレーバーを引き出すことができるのが特徴です。
インフュージョン/浸漬
ビールの原料となる麦やホップなどを浸漬(インフュージョン)することでビールの持つ味わいを表現するというもの。
海外の小規模メーカーをはじめ、国内にもメーカーができてきている。
アッディション/添加
インフュージョンに近しいが、国内の大手ビールメーカーに多く見られる香料や添加物を使いノンアルコールビールを作るというもの。
ノンアルコールビールの価格差のわけ

この後、個別の商品を見ていきますが、最後にノンアルコールビールの価格差について言及していきたいと思います。
ご存知のように、ノンアルコールビールは大手メーカーのものであれば100円程度の価格帯から存在します。
しかし、同じようなサイズ感であっても、500円以上するものも出てきています。
この価格差の正体はなんなのでしょうか?
さらに言えば、なぜノンアルコールなのに、アルコール顔負けの価格になるのでしょうか?
そこにはいくつかの原因がありますが、特に2つの要因を紹介していきます。